日本の3月は街の雰囲気も保護者の気分も“そつぎょうしき”であった。朝の情報番組で「卒業・入学式の服装」という特集もやっていた。保護者の服装についてであったが、「卒業式は金ボタンなどの華美な服装も容認できるが、入学式は初めて先生や保護者と顔を合わせる場なのでシンプルで無難なのが良い。」のだそうだ。うむ、わざわざTVが親の服装のお世話をするのか~と見ていたが、、、そう言えば以前、苦い経験をしたことを思い出した。
3年前、この幼稚園で入学式を迎えた時だった。それを想定していなかったので、帰省の際にはたいした服を持って帰っていなかった。仕方なく日本の箪笥の中を探し、奥底に眠っていた紺の地味~なジャケットをみつけた。式に着て行けそうなのはこれだけ。
あまりに地味なのでアクセサリー類を(フランス風に)多めにつけて参列したのだが、他のお母様方はシンプルなパステル色のスーツに真珠のネックレスのみ。
そうだった、日本はこうだった~~。昔、服飾の営業をしていたときも「入学式、卒業式にはこれでないとおかしいですよ」と言いながら真珠をたくさん売ってたのに~~、どうしてこんなことを忘れていたんだ・・・。
とにかく、私はその場で自分が浮いているような気がしてならず、途中で派手で目立つキラキラを隠れながらはずしていった。フランスでは周りを気にして服を選ぶことはそうないが、日本へ行くとやはり人の目が気になってしまうなあ。
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話を戻そう。3月も第二週目となると、公園での保護者の話題も卒園式の服装についてとなった。「通販で注文したのが届かないからどうしよう」と心配するのはまだ序の口。「何着ます?何色?どんな形?スカートの長さは?ジャケットの形は? ボタンの色は?ポケットの位置は?髪型は?靴は?バッグは?」と事細か~~に全員に尋ねまわる人もいたのだ。すっ、すごい! フランスでは絶対にありえない質問だぁ、とあっけにとられてしまった。
だがこの人のおかげで当日を迎えることなく、皆の服装の‘全て’が分かってしまったのも事実。当日その通りの服装のお母様方が現れた時、私は笑いをこらえるのに苦労した。
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