日本での卒園式の後、家族でのんびりと温泉旅行でもしてフランスに帰省する予定であった。そこへ区役所から呼び出しが来た。長女の小学校入学手続きについてである。
昨年日本を出る間際にバタバタして住民票を抜かずにそのままにしていたのだが、そのため彼女は4月から義務教育対象者となっていたのである。近くの小学校からも「義務教育除籍届を区役所に出して欲しい」と2月から言われていたのに、それもすっかり忘れていた。
区役所へ足を運んでみると、「住民票がある限り、お子様には校区の小学校に通う義務が発生します。除籍届だけではなく住民票も抜いてもらわないと、学校名簿には名前が残り、欠席扱いを受け続け、システム上、最低評価の通知表が毎学期発行されてしまいます。お子様が将来日本で働く場合に義務教育が最低評価だとお困りになると思います」とのことだった。
除籍届なるものにちょっとサインすれば済むのかと思っていたところ、予想外のことを言われたため、「ちょっと待って」と一呼吸置いてもらった。毎回帰省するたびに役所で長い時間待たされて転入手続きをするのははっきり言って面倒だし、第一、一度住民票を抜いてしまうと、ある知人のように「一時帰国ぐらいでは住民票は作れません」と言われる恐れもある。住民票がないと国民健康保険も使えなくなる。私が「できれば住民票は残したい」と言い張ると、「ここF市では実態に沿う行政を心掛けているので、日本人がたとえ短期でも生活をするのなら、転入を受け付けます」と念を押してくれた。面倒でもそれが実態なのだから、毎回帰省するたびに転入・転出手続きをして欲しいとのことであった。納得、了解。
どうも私は役所に行くとスムーズに事が運ばない。今回のやり取りは途中六法を開いて説明を受け、約1時間かかった。次の帰省時は子供が二人とも小学校である。聞いたところではまず転入届を出し、入学承諾書を発行してもらい、それを小学校に持って行くだけでいいそうだ。
(ここまでは、2003年3月の話。)
その後毎年帰省した翌日は区役所に行くのだが、毎回「1~2週間だけで帰りませんよね~短期なら旅行者として滞在できますから」とか何とか探りを入れられる。私も毎回「そんなに早く帰らないでいいことを願ってま~す」と、にごしている。
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