外国で子供に日本語を習得させる際、何が一番大変かと問われると、「漢字」という項目はかなり上位にくるのではないだろうか。我が家でもそうである。
日本にいればTV、街中、毎日自宅に届けられる新聞で嫌でも目にするのだが、フランスにいるとそういうわけにもいかない。さてどうしようか?
- 漢字を徐々に増やせるように絵本を厳選する ?
- 「はぁ~い、これが『やま』という漢字ですよ」と教えていく?
- 日本からドリルを取り寄せる?
どれにしても自発的に興味を持って取り組むことはないだろうなぁ。ひらがな・カタカナでさえややこしいのに、それより複雑な漢字を見せると子供が拒否反応を起こさないだろうか? 「難しそうだからいゃ~だ!」と思わせたらもうおしまいだ。もう二度と取り組まなくなるだろう。
じゃあもっと何年もあとに、漢字は必要不可欠のものと自分から気づくまで待てばいいのでは? でもいつまでも気づかなかったらどうしよう?
今から数年前、まだ下の子が幼稚園年少の頃・・・・・・
我が家の二人は年子なので、何でも同じ物を持っていないとケンカになった。歯ブラシ、ペン、消しゴム、、、形も色もまったく同じでないと大変だった。
だから区別するために名前を書くことにした。
まずはひらがなで。いろんなところに書いた。二人の名前をいろんなものに貼った。どこにでも一緒に書いたから、そのうち自分の名前はひらがなで読めるようになった。書けるようにもなった。
この「自分の名前がひらがなで読める」ことの効果は大であった。それまでは絵本を読んであげても絵しか興味を示さなかったが、読んでいる途中で「あ!これは“ゆ”だ!これは“な”だ!」と字を指さすようになった。やった~~!
第二段階として名前を漢字で書くようにした。ひらがなにも飽きてきた頃だったのか、漢字には目の色変えて取り組んだ。私がさりげなく書いていた漢字ネームをすぐ見つけるようになった。(例:お菓子を二つ買って、名前を書いて机の上に置く。けんかしないで自分のを嬉しそうに取る。) あっというまに読めるようになったのだ。それだけでなく自分から漢字を書くようになった。筆順はめちゃくちゃだが、‘漢字で名前を書く’というのが嬉しいようだった。
漢字が書けるようになると、ひらがなではもう名前は書かない、というほどだった。だから次はカタカナにしてみた。その後はローマ字。
トータルで4種類の名前。大人(フランス人)がわからない書き方ができるということで、どこへ行っても自慢していた。幼稚園でも絵の背景を漢字で埋めていた・・・。
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