2010年3月19日金曜日

礼記射義


『礼記射義(らいきしゃぎ)』は、中国古典『礼記』の第四十六篇の射義の一部分を抜粋したもので、弓道を行うにあたって心がけておく精神論と言えます。弓道教本第一巻の冒頭に掲載されています。


読み:
射は進退周還(しんたいしゅうせん)必ず礼に中(あた)り、内志(うちこころざし)正しく、外体(そとたい)直(なお)くして、然(しか)る後に弓矢を持(と)ること審固(しんこ)なり。弓矢を持ること審固にして、然る後に以って中ると言うべし。これ以って徳行を観るべし。
射は仁の道なり。射は正しきを己に求む。己正しくして而して後(のち)発す。発して中らざるときは、則ち己に勝つものを怨みず。反ってこれを己に求むるのみ。

解釈:
弓道においては、いつ何時でも必ず礼(*1)を尽くし、自己の内面を正しくし、外見(*2)を正しく整えて、その後に弓矢を手にとることが大切です。これの弓矢を持つ前の心持ちがしっかりできて初めて、本物の的中だと言えるでしょう。弓を引く姿を見ると、その人の徳と行いの高尚さを観ることができます。

弓道は仁(*1)の道です。弓道は自分自身の正しさを追求するものです。自己のの内面と外面が共に正しくして、それから矢を放つべきなのです。矢が的に中たらないならば、自分を上回った相手を怨むのではなく、自分自身にその原因を求めるだけのこと。

(*1)礼と仁:単なる立居振舞いの礼儀作法だけでなく、正しさ、他人への敬愛、信頼、思いやり、また規律、約束、時間などの厳守、他人へのいたわりの心、慈しみ、、、いわゆる仁義礼智信の五常の道と広くとらえていいのではないかと思います。

(*2)身だしなみだけでなく、八節にのっとった射の美しさ、稽古を重ねた上で得られる動きの美しさも含まれると解釈しています。

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【教本より】
射行は、
1)心志の安正
2)身体の安定
3)弓技の審固
の三点を眼目とし、これを修練することによって「仁」「義」「礼」「智」「信」の徳行が体得される。

矢を発して中(あた)らなければ他を怨むようなことなく、反ってこれを己に求めてよく反省せよ、と教示してあって、弓道は儒教を基礎とした道徳の修養道であると見なしていることが明白である。

射者仁道(しゃはじんのみち)、射裡観徳(しゃりかんとく)、審固満分、破邪顕正(はじゃけんしょう)とかいう名句は上にあげた「礼記」の銘文に基因しており、今日わが弓道界においてもこの信念が原動力となっている ことを忘れてはならない。
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リンク:礼記射義 仏語 Raiki shagi en français




弓を始めたのが大学一年の時。それから人間性はUpしただろうか?



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